junk story

河合隼雄先生のこと

たとえば、ある一流会社の社員は、中年になって自分の能力に自信がもてなくなり、人生も無意味に感じられ、果ては自殺ということも心の中に浮かぶほどになった。これでは駄目だと思い意を決して、大学時代の旧友を訪ね相談しようと思った。急に思い立って旧友を訪問すると、その友人が自殺し家族が嘆き悲しんでいるところであった。
われわれ心理療法家のところにおとずれて来る人は、大なり小なり個性化の問題に直面している人達であるので、このような不思議な体験を聞かせてくれる人が多い。この場合、この人の心の中に起こってきた「死」と、友人の「死」という外的事象が、ひとつの布置をつくりあげているのである。そして、この人は必然的に「死」の意味について考えねばならないし、われわれ分析家としては、この人の年齢が、人生の前半の「死」を迎え、後半へと下降する決意をうながしている時期にあることも見てとることができるのである。


(Source: finalvent.cocolog-nifty.com)

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